家の中でありながら土足で過ごせる空間である「土間」。昔ながらの日本家屋には当たり前に設けられていた空間でしたが、最近の家づくりではこの「土間」をライフスタイルに合わせて上手に取り入れる考え方に注目が集まっています。特に子育て世代にとっては、毎日の暮らしを便利で楽しくしてくれる様々な活用法がある反面、何となく「土間」が欲しいだけではうまくその機能性を発揮できない危険性があります。だからこそ、土間のある住まいのメリットやその賢い活用法は、家づくりを検討中の子育て世代なら絶対押さえておきたいポイントです!

現代の家づくりに進化した土間の3つのメリット

特に子育て世代に向けた土間のメリットとして次の3点があります。

1.家の外と中をつなぐ中間領域としての役割

靴を履いたまま過ごすことができる土間は、家の中にいながら外のようにお子さんをのびのびと遊ばせるのにぴったり!通常の屋内ではなかなかできない水を使った作業やDIYのように塵が舞うような作業を行うのにも適しています。

2.メンテナンスのしやすさ

お子さんが思いっきり遊んで汚してしまっても外と同じように簡単に掃除ができるのも土間ならでは。家の中のように音や汚れに気を使う必要もないので子育て世代にうってつけです。

3.動線の向上

たとえばお子さんが帰ってきたら土間で手洗いをしてから室内に入るようにしたり、玄関の土間にコートや雨具、自転車などを収納したり…。土間の多彩な使い方を家の中の動線に落とし込むことで、暮らしの動線も格段に便利になります。

これらの土間の特性を子育て世代のライフスタイルに落とし込むことによって暮らしはさらに豊かになるはずです。特におすすめの活用法を紹介します。

土間の活用例① 趣味を満喫するための空間に

DIYの工具や釣り道具、サーフボードやアウトドアアイテムなど、アクティブ好きのファミリーと土間との相性は◎。ガーデニングを嗜んだりペットとの暮らしを楽しみたい人にも土間を使った様々なアイデアが毎日の生活に彩りを与えてくれるはずです。

土間の活用例② リモートワークのスペースに

本来、家の中における「仕事場」だった土間。コロナ禍の時代でリモートワークが取り上げられ、家と職場が一体だった時代の名残としての土間の活用法にも注目が集まっています。リモートワークと聞くとこれまでは寝室の近くに仕事場をつくるケースが一般的でしたが、家の中の一番奥にある寝室では外とのつながりが遮断されてしまうため、子どもの面倒を見ながら働くことができず、来客時にわざわざ玄関まで行き来する点でも不都合でした。そうした動線の不便さを解消するだけでなく、土間に仕事場があると一度靴を履いて仕事場に向かうため、仕事にメリハリが生まれるという利点も考えられます。

土間の活用例③ コロナ禍における安心した住まいに

最後に提案するのは水場を簡単につくれるという土間の特徴を生かした活用例です。やはりコロナ禍の影響で手洗い・うがいの意識は高まっていますが、家の中の洗面所に行くまでにあちこち通ったり触れたりするのが気になるという方も多いことと思います。そうした悩みも土間に手洗い場を取り入れることで解決できます。外で遊んで汚れて帰ってきたお子さんやペットを飼っている方にもおすすめですね。住まいにおけるパブリックな部分とプライバシーの部分をどう分けるかを考えるうえでも、家族が共用して出入りする場所である土間で手洗い・うがいが行えるのは非常に理にかなっていると思います。

「土間=底冷えする」って本当なの!?

ここまで土間がもたらすメリットや具体的な活用法を考えてきましたが、デメリットを気にされる方もいるかと思います。特に、冷暖房が効きにくくなる点や冬の底冷えを懸念する声を多く聞きます。でも、コンクリートや石が素材として用いられる土間は、実は一度暖まると冷えにくい蓄熱性に優れた素材でつくられています。そうした性質をうまく利用することで、例えば南側玄関に土間を配し、直射日光で温めることで蓄熱体としての役割を持たせたり、逆に朝の内に冷やしておくことで日中も涼しく過ごせたりすることも可能です。確かに使いこなすには温度管理が難しい側面はありますが、土間だから「冷暖房が効きにくい」「冬は底冷えする」のではなく、賢く活かすことで冷暖房のコスト削減に繋げることも可能なのです。

様々な用途があった昔ながらの土間

そもそも昔の家に土間が多かった理由として、住居の中で靴を履いて過ごす場所と脱いで過ごす場所がはっきりと分けられていた背景がありました。昔の家は土間と床との間に段差が設けられていることが一般的。家の中と外をつなぐ中間領域として、緩やかにプライバシーを保つことができていました。また、電化製品が充実していなかったため土間で火を使って炊事場として利用したり、水で周りが汚れてもいいようにお風呂場が土間のそばにあったりする家もありました。このように様々な用途があるスペースとして土間は重宝されていたのです。もちろん、居住性が高まった現代の家づくりにおいてはキッチンやお風呂場を土間につくることはほとんどありませんが、土間が持つ性質は今の家づくりにも大いに役立つ点があると考えています。

趣味に仕事に遊びにも!子育て世代の満足感を高める土間のある家。

家の中で仕事をする場所として作られていた土間が、現在の家づくりでは役割を変えて見直されているように、以前に比べ家づくりはどんどん多様化しています。決められた間取りの中でどう暮らすかではなく、自分たちのライフスタイルに合った家づくりが求められている中、趣味に仕事に遊びにと様々な使い方で満足感を高めてくれる土間は、子育て世代の家づくりにぜひ取り入れてほしい要素の一つ。もちろん、土間の活用例は上に挙げただけにとどまらずもっと自由でもっとユニークな使い方だってあるはずです。「単に土間のある家が欲しい」ではなく、「土間を使って何をしたい」というお客様の声に寄り添いながら、新しい土間の可能性を一緒に考えていきたいですね。そのためにもまずは気軽に相談してもらえればと思います。